慣行農業ができる理由

国が「みどりの戦略」を掲げてから「有機農業」が話題です。しかし、現代の主流は、肥料農薬を使用した「慣行農業」です。そんな慣行農業を可能になった歴史を追っていきます💨

目次
1.有機栄養説
2.無機栄養説
3.ハーバーボッシュ法の誕生

1.有機栄養説

もしかしたら、初めて聞いたこと「説」かもしれません。1つ1つ説明します。
まずは、有機栄養説です。
この説の提唱者は、ドイツの農学者「アルブレヒト・ダニエル・トーア」という人物です。
テーアの写真を載せることができなかったので、見てみたい人は調べてみて下さい。インターネット上には載っています。

具体的に何をしたのかというと,厩肥(うまやごえ)の効用や輪作などの重要性を訴えた人です。

厩肥とは、家畜の糞尿や敷き料を堆積させ腐らせ熟させたものです。
輪作とは、同じ土地に様々な種類の農作物をサイクルを作成して栽培する方法です。例えば、マメ科を植えたところに、翌年は稲作を植えるとかですね!

テーアは、この厩肥の有効利用を唱えていました。また、この厩肥の本質は「フムス」と呼ばれる「腐食」にあると唱えました。
これが、腐食説だったり有機栄養説と呼ばれる理由ですね。
つまり、フムスと呼ばれる有機物が植物の栄養になると考えていたのです💡

そしてですね、当時、土の中の微生物の作用がよくわからなかった時代ですので、フムスの中に,植物が成長するための栄養分である窒素やリン,その他さまざまなミネラルなども含まれているということを考えていたそうです。

しかし、、、
この説が否定されます☹️

目次を見てお気付きかとしれませんが、有機栄養説を否定してでてきたのが無機栄養説ですね。

無機栄養説の前に、ちょっと余談します。
この偉人テーアは,元々医者でした。妻へのプレゼントとして4haほどの農地を上げたみたいですね、そのことがきっかけになり、なんやかんやして農学へと目覚めたらしいです。医者をやめ農学者になりましたユニークな人です。

2.無機栄養説

無機栄養説は、ドイツ人の科学者である「ユストゥス フォン リービッヒ男爵」によって唱えられました。

リービッヒです👨🏻‍🔬写真元https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%A5%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%92

何を提唱したのか。無機栄養のことです。

有機物を土に戻すことの有効性を,フムスのような有機栄養ではなく,それらが分解されて無機態になって吸収されることを示しました!

つまり、生物圏における元素の循環が大事であると解釈しました。あらゆる植物の栄養源は腐植のような有機物ではなく、炭酸ガス、アンモニア、水、リン酸、カリウムなどの無機質であることを唱えました。

当然、多くの人はびっくりします。しかし、その後、水耕栽培が可能になり、「無機質のみ」で植物栽培することが可能になりました。当然、有機栄養説は退けられるということですね〜

水耕栽培です✌️ 参考資料https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E8%80%95%E6%A0%BD%E5%9F%B9

また、リービッヒ最小律もあります。

「植物生長速度や収量は、必要とされる栄養素のうち、与えられた量のもっとも少ないものにのみ影響されるとする説。」
参考文献
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/リービッヒの最小律

またまたですね、リービッヒの最少律を説明する際に、「ドベネックの桶」が例えられることが多いです。

ドベネックの桶をすごくわかりやすくまとめているので気になる方は見てみてください。https://www.saiseikai.or.jp/feature/recipe/column/002/

一見完璧のように思いますが、リービッヒは1つだけミステイクをしてしまいました。
それは、「窒素の吸収について」です。

本来は、「土壌中の有機物は土壌微生物によって分解されて無機化」します。しかし、リービッヒは、「植物が空気中からアンモニアガスを吸収しているからに違いない」とリービッヒは考えたそうです。

おそらく彼の考えに至った経緯は、マメ科植物特有である「根粒菌と共生して空中窒素を利用する」生育を見て、考えたことだと思います。

根のところにあるツブツブが根粒菌です🦠
こやつが秀才リービッヒを惑わしたのです笑

しばらく経った1877年、シュレシングとムンツの二人の研究者により、「土壌微生物によって、アンモニアが硝酸に酸化される現象(硝化作用)が発見」されました。

そして、硝化作用の追実験してたロバート・ウォーリントンによって、、、

「土壌中の有機物は土壌微生物によって分解されて無機化する」ことが発見されたんです👏

長年、問題であった窒素栄養の問題も解決し、リービッヒの提唱した「無機栄養説」は普遍の原理として広く認められることになったのです!

3.ハーバーボッシュ法の誕生

さて、上記の2つの説と何の関係があるのかと思う人が大多数だと思います。

実は、ハーバーボッシュ法は、リービッヒの理論に基づいてやっていたらしいです🙀
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E6%B3%95#%E6%AD%B4%E5%8F%B2

リービッヒのおかけで、ハーバーボッシュ法を生み出すヒントを貰ったということですね!

ハーバーボッシュ法とは、空気と水を使って、アンモニアを作る方法です。

ハーバーボッシュ法を詳しく知りたい方↓
https://rikeilabo.com/harbor-bosch-method

そんなハーバーボッシュ法ですが、農業の話をするならば、なくてはならない話だと僕は思っています。

何がスゴいのか。

農作物を育てるには、窒素・リン・カリウムの肥料の三要素が必要です。ハーバー・ボッシュ法は、窒素を供給する化学肥料の大量生産を可能にしました。結果として「農作物の収穫量は飛躍的に増加」したのです!

そして、人口爆発にも対応可能になりました。農作物の量が人口増加に追いつかず、人類は常に貧困と飢餓に悩まされていたが、化学肥料のおかげで、解決したということですね!

これまた余談ですが、化学肥料と同時に、爆薬の原料となる硝酸の大量生産も可能にした事実もあります。ハーバーボッシュ法は、歴史的に見て世紀の大発見だと僕は思っています😀

こんな感じで、歴史を見ていくと面白いことがいっぱいあります。歴史って、意外と長いようで短いんですよね〜

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